カスタムラドル第2回:自分だけの一本へ。〜革・紐・ビーズ、カスタムの世界〜

サウナでのタオルの振り方、アロマの選び方、お客さんへの声のかけ方。同じ「アウフグース」という行為でも、マスターが違えばまったく別の体験になる。それがこの文化の面白さであり、奥深さでもあります。

ならば、ラドルでも個性を出していきましょう。

前回は、白樺製サウナラドルを「育てる道具」として紹介しました。

今回はもう一歩踏み込んで、実際にどんなカスタムができるのかを具体的にお伝えします。特別な技術は必要ありません。必要なのは、少しの時間と、自分のスタイルへの意識だけです。

カスタムの前に:ラドルを知ること

手を入れる前に、まずラドルをよく観察してみてください。

全長60cmの白樺ラドル。スプーン部分の丸みと、ヘキサゴン(六角形)に近いカットが施されたエッジ。柄は握りやすい太さで、グリップ付近はやや角ばったデザインになっています。末端には紐を通すための小さな穴が開いており、ここに何を通すかだけでも、すでに個性が生まれます。

この構造を頭に入れた上で、どこに手を入れるかを考える。それがカスタムの第一歩です。

カスタム① 革巻き

最もインパクトが大きく、プロフェッショナルな雰囲気を醸し出すのが革巻きです。

グリップ部分(柄の下半分あたり)に薄くなめした革を巻きつけるだけで、ラドルの表情は一変します。汗ばんだ手でも滑りにくくなるという機能面の向上はもちろん、革特有の経年変化——使うほどに色が深まり、手の形に馴染んでいく感覚——がラドルにも宿るようになります。

使う革の選び方

素材によって仕上がりの雰囲気がまったく変わります。

  • ヌメ革:加工なしの素上げ革。最初は淡いベージュ色で、使い込むほどに飴色に変化する。経年変化を楽しみたい人に最適。
  • オイルレザー:最初からオイルが含浸されており、しっとりとした質感。水や熱に比較的強く、サウナ環境との相性がいい。
  • スエード・ベロア:柔らかくマットな質感。滑り止め効果が高く、握り心地重視の人向け。

革の色は黒・茶・キャメル・ネイビーなど、白樺の木色との対比を意識して選ぶと全体のバランスが取りやすいです。

巻き方のポイント

革紐や細いレザーコードを斜めに螺旋状に巻いていく方法が最もシンプルで美しく仕上がります。始点と終点をしっかり固定すれば、特別な接着剤なしでも実用に耐えます。巻く幅はグリップ全体の1/3〜1/2程度を目安に。巻きすぎると重くなるので注意しましょう。

カスタム② 紐巻き

革ほど本格的な道具や技術は必要ないけれど、個性は出したい。そんな方には紐巻きがおすすめです。

麻紐、綿ロープ、パラコード(アウトドア用コード)、革紐など、素材の選択肢は幅広くあります。それぞれが異なる質感と色を持ち、組み合わせ次第でまったく異なる表情になります。

素材別のキャラクター

  • 麻紐:ナチュラル・ボヘミアン系。白樺の木色と相性が抜群で、森の中にある道具のような雰囲気が出る。
  • 綿ロープ:柔らかく、色展開が豊富。カジュアルでポップな仕上がりに。
  • パラコード:アウトドア・ミリタリー系の無骨さが出る。耐水性が高く、実用面でも優秀。
  • 革紐:革巻きより細く繊細な印象。アクセサリー的な感覚で楽しめる。

巻き方のバリエーション

単純な螺旋巻きから、クロス巻き、編み込み(ハーフヒッチノット、コブラ編みなど)まで、巻き方によって仕上がりのテクスチャーが変わります。マクラメや釣り糸編みの技法を応用しているマスターもいて、ラドルカスタムはクラフト趣味との親和性が非常に高いフィールドでもあります。

カスタム③ ビーズ・チャーム

柄の末端、紐を通す穴の部分。ここに何かを下げるだけで、ラドルはぐっと「あなたのもの」らしくなります。

ウッドビーズ、天然石、金属チャーム、タッセル、フェザー。素材感や色味の組み合わせで、ラドルの全体的なトーンが決まります。

  • サウナへの敬意を込めて、**天然石(水晶・ラピスラズリなど)**を一粒だけ。
  • 自分のサウナカラーを宣言するように、アクセントカラーのビーズを連ねる。
  • 遊び心たっぷりに、フェザーやタッセルを揺らす。

「重すぎないこと」「熱や水で傷まない素材を選ぶこと」この2点さえ守れば、発想は自由です。

カスタム④ 焼き印・刻印

少し上級者向けですが、焼き印や木彫りでラドルに文字や模様を入れる方法もあります。

自分のイニシャル、サウナ哲学を表す一言、あるいはお気に入りのモチーフ。熱したコテや電動彫刻ペンがあれば、それほど難しくはありません。白樺の柔らかな木肌は彫りやすく、焦げ色のコントラストが美しく映えます。

これは「ラドルに名前を刻む」行為です。道具を超えて、作品になる瞬間があります。

組み合わせることで、スタイルが生まれる

革巻き×天然石チャーム。麻紐×焼き印。パラコード×メタルリング。

カスタムは「ひとつだけ」である必要はありません。組み合わせることで、あなただけのスタイルが立ち上がってきます。

ここで大切なのは、「映える」かどうかより「自分がしっくりくるか」どうか。アウフグースの場に立ったとき、このラドルを握ることで少し背筋が伸びるような感覚——それが、カスタムの本当の目的だと思っています。

白木とブラウン、どちらをベースにするか

YLSのラドルには、白木タイプとブラウンフィニッシュタイプの2種類があります。カスタムのベースとしてどちらを選ぶかで、仕上がりの印象は大きく変わります。

白木タイプは、カスタムの要素が映えやすく、経年変化の過程を一から楽しめます。革やビーズの色が際立ち、「手を入れた感」がはっきり出ます。

ブラウンフィニッシュタイプは、最初から落ち着いた渋みがあり、革巻きや焼き印との相性が特に良い。全体として「使い込まれた道具」の雰囲気が最初から漂います。

どちらが正解かはありません。あなたがどんなラドルと歩みたいか、そのイメージで選んでください。